保全対象施設の調査の注意点

風営法の許可申請をするときに保全対象施設の調査は必要不可欠です。

保全対象施設の重要性は今更言うまでもありません。

保全対象施設について知りたい方は先にご覧ください。

保全対象施設の調査は正直厄介です。

あなたがすでに保全対象施設について調べていれば分かると思いますが、そもそも「保全対象施設が何なのか?」という疑問がでてくると思います。

「風営法 保全対象施設」と検索すれば保全対象施設について書かれたサイトはたくさんでてきます。

しかし、どれも要点だけ書かれていて自分で保全対象施設を調査できるまでの情報は載っていないような気がします。

そこでここでは保全対象施設を実際に調査するときに必要な知識をご説明しようと思います。

保全対象施設とは何なのか?

風俗営業許可で調査する保全対象施設とは学校・図書館・病院・児童福祉施設のことをいいます。(特定遊興飲食店営業の保全対象施設とは異なります。)

もしかしたらあなたは、「児童福祉施設はともかくとして学校や図書館なら簡単に見つけられるよ!」と思うかもしれません。

それでは質問をします。

  1. 認証保育所は保全対象施設の学校に含まれるのか?
  2. 図書サービスコーナーは保全対象施設の図書館に含まれるか?

いかがでしょうか?答えられますか?

風営法の許可申請で、なんで保全対象施設の調査が重要なのかというと保全対象施設を見落としても申請はできてしまうからです。

風営法の許可は申請してから許可がおりるまで約2ヶ月かかります。

この間に公安委員会が許可をだすか、ださないかを判断するわけですが、保全対象施設の有無もこの時に判断されます。

つまり保全対象施設があるにも関わらず、「ない」と思い込み申請をしてしまうと公安委員会の結果がでるまで無意味な時間をただ過ごすことになってしまうわけです。

この間はもちろん家賃などの出費は発生しています。

このようなロスを防止するために保全対象施設の調査は重要になるわけです。

保全対象施設の調査のやり方

それでは保全対象施設の調査はどうすればいいのでしょうか?

まずは保全対象施設の調査の流れを理解していないと、あなたが想像している以上に大変な作業になると思います。

  1. ゼンリンの地図に半径100mの円をコンパスで書く
  2. 実際にお店のまわりを歩く
  3. 保全対象施設ぽいのがあったら地図に書き留める
  4. 事務所や自宅に帰ってから疑わしい保全対象施設を調べる

になります。

ゼンリンの地図や100m半径略図の書き方はこちらで説明してあります。

地図を用意したらまずは地図に書かれている円の内側をくまなく歩きます。

そして、保全対象施設ぽいのがあったら地図上にチェックします。逆に住居や店舗などあからさまに保全対象施設ではないと判断したところは×で潰していきます。

地図にチェックした保全対象施設ぽいのは自宅に帰ってから電話やネットで調べます。また特に疑わしいところがあれば役所に行って窓口で納得いくまで確認します。

このような流れで調査をするのですが、まずは保全対象施設についてもう少し詳しく知っておく必要があります。

保全対象施設に含まれるもの

保全対象施設とはそれぞれ法律で定義が決められています。

例えば「学校」だと学校教育法という法律の1条で以下のように書かれています。

この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

つまり保全対象施設としてみなされる学校とは基本的には幼稚園、小学校、大学などのことをいうので保育所は含んでいません。

因みに保育所と保育園は同じものと考えてください。

ということで、先ほど質問した「認証保育所は保全対象施設の学校に含まれるのか?」という質問の答えは

「含まれない」になります。

でも実は保育所にはもう一つクリアしなければならない壁があります。

保全対象施設には学校と同じように児童福祉施設も含まれます。児童福祉施設は児童福祉法の7条で以下のように書かれています。

この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。

そうなんです。

保育所は児童福祉施設には含まれるのです。

つまり保育所は学校ではないけど児童福祉施設にはなるということになります。

ということは最終的に「認証保育所は保全対象施設なのか?」という疑問にぶち当たるわけです。

結論からいうと風営法でいう保全対象施設は児童福祉法の7条の認可保育所だけが該当するので認証保育所は保全対象施設には該当しません。

因みに保育所は認可保育所・非認可保育所などに分かれています。

施設を調べるときのポイントとして学校を調べるときは市町村のサイトを使います。

例えば東京都内だと、どこの区でも幼稚園や小学校・中学校などの場所が一覧で掲載されています。

この中に保育所に関しても記載されています。そこに保育所の種類(認可や認証など)が書かれているのでこれを参考にします。

どうしても分からない場合は区役所に電話して「保育所について聞きたい」といえば担当の係りの者につないでくれるので、そこで認可や認証なのかを確認します。

このように図書館や病院にしてもそれぞれが定義されている法律があります。

質問の2つ目の回答も「含まれない」です。図書サービスコーナーは基本的に図書館ではなく行政サービスに該当します。

ここだけは押さえておきたいポイント

このように保全対象施設はそれぞれの法律を調べなくてはならないので大変です。

しかし、もっと簡単に調べられないのか?というのが人間というものです。

そこで当事務所の経験したことを踏まえた調査時のポイントを説明したいと思います。

  1. 学校
  2. 図書館
  3. 病院
  4. 児童福祉施設

1. 学校について

まずは学校についてです。学校で注意しなければならないのは幼稚園と大学です。小学校や中学校などは規模が大きいので現地を歩けば気づきます。

それに比べて幼稚園は見落とす可能性があります。幼稚園は団地やお寺にもあるので気づかないことがあるからです。

大学はサテライトキャンパスに注意します。

サテライトキャンパスとは大学の本拠地とは離れた場所にあるキャンパスのことをいいます。数はあまりありませんが、駅ビルに入っていることもあるので駅前にお店がある場合は注意が必要です。

2. 図書館

図書館も大きいので大丈夫でしょう。図書館も役所のサイトに一覧で所在地が記載されているので念のためチェックします。学校にある図書室などは図書館には該当しません。

3. 病院

病院は一番多い保全対象施設です。実際に保全対象施設の調査をすれば一番多くみかけるのが病院です。ですが病院の中でも風営法の保全対象施設に該当する施設は入院設備がある病院だけです。

一概に病院といっても病院に該当するものは病床の数が20以上あるものです。病床が19以下であれば診療所と呼ばれております。診療所は病床の数が8以上と7以下では距離制限が変わりますのでご注意ください。

同じように歯医者も病床があれば保全対象施設に該当します。

ですので、病床がないものは病院や診療所には該当しないので保全対象施設には含まれません。

実際に入院設備があるかどうかは保健所などで確認します。

4. 児童福祉施設

児童福祉施設は一番厄介かもしれません。というのは何が児童福祉施設なのかが分かりにくいからです。

上記でも児童福祉施設の定義を紹介しましたが聞きなれない名称ばかりだったのではないでしょうか?

児童福祉施設はとりあえず認可保育所だけ注意すればいいと思います。

それ以外の児童福祉施設の調査のポイントは施設の名称を覚えるよりも実際にそれっぽいのがあったら調べるというスタンスのほうがいいと思います。

児童福祉施設は聞きなれない名称なので不安に思うことがあるかとは思いますが、数は病院や学校と比べると圧倒的に少ないので気にしすぎることはないと思います。

まとめ

今の時代はネットにもたくさん情報が載っているので是非参考にしてください。

ですが調査をするときは必ず現地を歩いてください。実際に現地を歩けば地図やネットでは分からないことが必ずあります。

また、保全対象施設の概要や距離制限は地域によって異なります。このサイトで書いてある情報はあくまで参考程度にとらえてください。

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