用途地域と保全対象施設の調査(場所的要件)

風俗営業許可申請に必要な用途地域と保全対象施設の調査

場所的要件

あなたが人的要件をクリアして、風俗営業許可申請が可能な個人又は法人だったとします。

しかし今度は場所的要件をクリアしなければなりません。

風俗営業店舗は営業出来る地域が定められています。
理由は申請要件のページで書いています。

この場所的要件は以下の2つに分かれています。

  1. 用途地域
  2. 保全対象施設

1 用途地域

まずはお店の用途地域を調べなくてはなりません。

風俗営業許可を申請するためにはお店の場所が商業地域などの用途地域でなければなりません。

用途地域とは都市計画法で定められた地域地区の1つで、私達が住んでいる地域を全部で12種類に分けています。
そして、これらの地域のなかで風俗営業許可申請ができる用途地域を各自治体が決めています。

あくまで目安ですが、東京都の場合は「商業地域」、「近隣商業地域」、「工業地域」、「準工業地域」の用途地域だと風俗営業許可申請ができる可能性が非常に高いです。

そのため、上記の用途地域には風俗営業店舗が密集しています。
特に駅前や国道沿いなどは「商業地域」や「近隣商業地域」が多いので、
これから風俗営業店舗を営業する場合は用途地域を参考に店舗を借りるようにしましょう。

逆にお店の周辺に風俗営業店舗がない又は住宅ばかりある場合は
風俗営業許可申請が出来ない可能性が非常に高いです。

詳しくは「○○区,用途地域」で検索すると、
各自治体の都市計画情報を提供しているサイトが出てくると思うのでそちらを参考にしてください。

2 保全対象施設の調査

用途地域に問題がなければ、次に保全対象施設の調査をします。

保全対象施設とは病院や学校などのことをいいます。保全対象施設は平成28年6月22日以前まで保護対象施設と呼ばれていました。そのためこのサイトでも保護対象施設のまま表記されている部分がありますが現在は保全対象施設のことを表しております。

いくら用途地域が商業地域のように申請要件をクリアしていても
許可がおりないという例外があります。

それはお店の近くに保全対象施設がある場合です。

申請要件のページでも書いてありますが、風営法の目的は
若者の育成に障害を及ぼす行為の防止と風俗環境の保持です。

風俗営業店舗が病院や学校の近くにあると
若者の育成に障害を及ぼすと国は考えているわけです。

保全対象施設に該当するもの

 保全対象施設
 施設名  具体例
 学校  幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、盲学校、養護学校など
 図書館  地方公共団体、日本赤十字社、一般社団法人、一般財団法人が設置するもの
 児童福祉施設  児童養護施設、保育所、助産施設、児童発達支援センターなど
 病院  歯科医院を含む医療施設で病床が20以上のもの
 診療所  歯科医院を含む医療施設で病床が19以下のもの

 これらの保全対象施設の近くでは風俗営業店舗は営業することはできません。

それではどれくらい近いとダメなんでしょうか?
東京都の場合だと用途地域によって以下の距離制限があります。

保全対象施設との距離

用途地域 保全対象施設 距離制限
商業地域  学校(大学を除く)、図書館、児童福祉施設(助産施設を除く) 50 m
 大学、病院(第1種助産施設を含む)、診療所(8人以上の患者を入院させることができる施設) 20m
 第2種助産施設、診療所(7人以下の患者を入院させることができる施設) 10
 近隣商業地域  学校(大学を除く)、図書館、児童福祉施設(助産施設を除く) 100 m
 大学、病院(第1種助産施設を含む)、診療所(8人以上の患者を入院させることができる施設) 50 m
 第2種助産施設 、診療所(7人以下の患者を入院させることができる施設) 20 m
 工業地域・その他  学校、図書館、児童福祉施設、病院、第2種助産施設、診療所(患者を入院させることができる施設) 100 m

例えばお店が商業地域なら20m以内に病院がなければ許可がおります。
しかし、お店が近隣商業地域なら50m以内と距離が変わります。

神奈川県の保全対象施設との距離

埼玉県の保全対象施設との距離

千葉県の保全対象施設との距離

保全対象施設の判断基準

保全対象施設があるかの判断基準は許可がおりるまでに判断されます。
つまり申請時に保全対象施設がなくても許可がおりるまでに保全対象施設ができるとアウトです。

こんなことは滅多にないことですが、前例として行政が風俗営業店舗を営業出来ないように嫌がらせ目的で風俗営業店舗の近くに保全対象施設を作ったことがあります。
これはもちろん違憲でしたが、申請中に正当な理由で保全対象施設ができたら許可はとれません。

また、保全対象施設は建物の姿形を要しません。
書類上で保全対象施設を確認できればいいので、保全対象施設を調査する場合は自分の視覚だけで判断しないようにご注意ください。

保全対象施設の調査時の注意点

保全対象施設の調査が終わったら「営業所を中心とする100m半径略図」という書類を作ります。
書類の書き方は以下をご覧ください。

営業所を中心とする100m半径略図

保全対象施設が確認できたら構造的要件をご説明します。

客室の広さや照度などの構造的要件