風俗営業許可の申請要件とは
それではあなたが接待行為をするお店を営業しようと考え風俗営業許可を申請するとしましょう。
しかし申請前にまずやることがあります。
それはあなたが風俗営業許可を申請できるかどうかを確認しなければなりません。
風俗営業許可は誰でも申請できるわけではありません。
また、どこでも申請できるわけではありません。
風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の第1条(目的)では以下のように
記載されています。
この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。
簡単にいうと、風営法の目的は以下のようになります。
- 若者の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため
- 風俗環境の保持と風俗営業の健全化及び風俗営業業務の適正化の促進
(風俗営業店舗が犯罪(売春、賭博、薬物など)の温床にならない)
そこで、風営法ではこれらの目的のために営業者側(申請側)にいくつかの要件を定めております。
この要件とは
- 人的要件
- 場所的要件
- 構造的要件
に分けることができます。
人的要件
人的要件とは申請者である個人又は法人が風俗営業許可を申請できるがどうかの基準のことをいいます。
以下に該当する個人又は法人は申請することができません。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 一年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して一年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
- アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
- 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
- 第二十六条第一項の規定により風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(例外あり)
- 第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
- 前号に規定する期間内に合併により消滅した法人又は第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該消滅又は返納の日から起算して五年を経過しないもの
- 第七号に規定する期間内に分割により同号の聴聞に係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)又はこれらの法人の同号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該分割の日から起算して五年を経過しないもの
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が風俗営業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び次号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
- 法人でその役員のうちに第一号から第九号までのいずれかに該当する者があるもの
簡単にいうと
- 破産しているもの
- 5年以内に懲役、禁錮、罰金刑など警察沙汰になった個人又は法人
- 結婚していない未成年
などは人的要件に該当するため申請者にはなれないということになります。風営法にはもっと詳しく書かれているので興味のある方はご確認ください。
警察に全く世話になったことのない方は無視して頂いていいのですが、欠格事由に思い当たるふしのある方のためにもう少し補足します。
上の3番目の「集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」についてです。
この国家公安委員会規則とは風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則第6条のことを指します。そしてこの施行規則第6条には刑法などの法令がびっしり書かれており、要はここに記載されている法令などに違反するような行為は当然、このような行為を行うおそれのある者(相当な理由がある者に限る)も申請者にはなれないと解釈できます。
そして難しいのがこの「おそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」という箇所です。これをそのまま受けとると、例えば刑の執行から5年以上経っていても警察などがおそれがあると認めた場合は許可が取れないことになってしまいます。
なので極めて確率は低いですが、仮に刑の執行から5年経っていても100%許可が取れるわけではないのでご注意ください。
上記に当てはまる方は申請者にはなれません。また管理者にもほとんど同じような人的要件があります。
次に場所的要件についてご説明します。