今回は風俗営業許可の相続承認申請をいたしました。
当事務所では約8年間風俗営業許可の手続きをやっておりますが、相続承認申請は初めてのケースになりました。
結論からいうと相続承認申請はまあまあ面倒臭かったです。初めてだったのでよくわかっていなかったのが原因の一つですが、手続き自体そんなに件数が多くないため、警察署の方も慣れていないみたいでお互い確認しながらやっているような感じでした。
それでは風俗営業許可の相続承認申請についてまとめてみたいと思います。
風俗営業許可の相続とは
第七条 風俗営業者が死亡した場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により当該風俗営業を承継すべき相続人を定めたときは、その者。以下同じ。)が被相続人の営んでいた風俗営業を引き続き営もうとするときは、その相続人は、国家公安委員会規則で定めるところにより、被相続人の死亡後六十日以内に公安委員会に申請して、その承認を受けなければならない。
2 相続人が前項の承認の申請をした場合においては、被相続人の死亡の日からその承認を受ける日又は承認をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした風俗営業の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。
3 第四条第一項の規定は、第一項の承認の申請をした相続人について準用する。
4 第一項の承認を受けた相続人は、被相続人に係る風俗営業者の地位を承継する。
5 第一項の承認の申請をした相続人は、その承認を受けたときは、遅滞なく、被相続人が交付を受けた許可証を公安委員会に提出して、その書換えを受けなければならない。
6 前項に規定する者は、第一項の承認をしない旨の通知を受けたときは、遅滞なく、被相続人が交付を受けた許可証を公安委員会に返納しなければならない。
引用:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
相続承認申請の必要書類とは
- 相続承認申請書
- 住民票
- 身分証明書
- 欠格事由に該当しないことの誓約書
- 申請者と被相続人との続柄を証明する書面
- 申請人以外に相続人がある時はその者の氏名及び住所を記載した書面並びに当該申請に対する同意書
5.申請者と被相続人との続柄を証明する書面とは戸籍謄本などをいいます。戸籍謄本は原則続柄を確認できれば足りると思われるので、遺産分割協議書作成のように出生から死亡までの戸籍謄本を取る必要はないのではないかと考えております。
6.申請人以外の相続人がいる場合はその者と氏名と住所を記載します。こちらも氏名と住所だけで足りると思われるので、戸籍謄本からの確認までは求めていないと思います。また、その者からの同意書も必要になります。
今回は相続人、被相続人の苗字がそれぞれ変わっていたため、関係性が分かるようにそれぞれの戸籍謄本及び住民票を取得いたしました。
また、申請人以外の相続人もいたので、その者の氏名及び住所並びに同意書を作成いたしました。
同意書等はフォーマットがないので自分たちで作成するような形になるかと思います。また、上記1~6以外に被相続人の風俗営業許可証の写しを添付いたしました。
以上で相続承認申請は終了となります。結果は約30日前後ででます。
今回は無事承認されたので次は許可証書換えが必要になります。
許可証書換えの必要書類とは
- 許可証書換え申請書
- 被相続人の風俗営業許可証
風俗営業許可証には 1.営業者の氏名、2.営業所の所在地 3.営業所の名称が記載されております。そのため風俗営業許可の相続手続きでは営業者の氏名が変更になるため、許可証書換え申請が必要になります。
そして今回悩んだのが管理者の変更はどうするのか?です。相続承認がされたということは営業者の変更は認められたと推測できます。しかし、管理者の変更(営業者と同一人物)まで認められたのかは不明だったので、当事務所では管理者の変更については別途変更届出書を提出いたしました。
結果的に許可証書換え申請及び変更届出書を同時に受理して頂いたので、やり方は大きく間違っていなかったのだと思います。ただし、一般的な管理者変更と違い管理者の住民票や身分証明書は変更届出書には添付しなくても受理されたので、相続承認申請の時に提出した書類を再利用できるのかもしれません。
管理者の変更届出書の必要書類とは
- 変更届出書
- 管理者の誓約書2枚
- 管理者の写真2枚
以上になります。今回この業務を受任するにあたって風俗営業許可を相続するかそれとも新規で取った方がいいか悩みました。
相続手続きのほうが簡単そうに思いましたが、相続の知識が必要になるのに加えて、警察署に最低でも2回(相続承認申請時と許可証書換え申請時)行かなければならないので、結果そんなに簡単な作業ではないと感じました。行政書士がこの業務を受任する際は是非参考にしてください。
風俗営業許可の相続と新規のメリット及びデメリット
相続のメリット
・承認まで早い(引き続き営業ができる)
・行政書士手数料が安いかも
・場所的要件がない
相続のデメリット
・相続が適法に行われいることが前提(相続人が確定している)
・その他の相続人の同意が必要
・申請内容は許可時のものがそのまま移行される。図面なども注意
新規のメリット
・申請要件が整えば許可がもらえる
・相続人などの影響を受けない
新規のデメリット
・場所次第で許可が取れない可能性がある
・許可までの時間がかかる