特定遊興飲食店営業とは/クラブやダンス・生演奏などの風俗営業許可申請
このサイトでは平成28年6月23日に施行される風営法関連の改正についてまとめたものです。
警察庁の通達やパブリックコメントを参考資料としておりますが今後も変更があることも考えられますので参考程度にご覧ください。
それでは特定遊興飲食店営業許可とはどういうものなのでしょうか?
特定遊興飲食店営業とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、
客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前6時以後翌日午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう
特定遊興飲食店営業許可とは深夜に客に遊興をさせ酒類を提供する営業をする時に必要な営業許可です。
深夜とは深夜0時以降のことをいい、遊興とはダンスとか生演奏とかのことをいいます。
例えば今まではお店でお客さんにダンスをさせようという場合は風俗営業許可という許可が必要になりました。しかし、風俗営業許可をとった営業所は深夜0時以降の営業(延長地域は深夜1時まで 以下同じ)はできませんでした。
そこで今回の風営法の改正で特定遊興飲食店営業に該当する店舗は深夜0時以降も営業できるということになりました。
ところが誰でも好きなように特定遊興飲食店営業を営業できることになってしまうと酔客が迷惑行為を行ったり、営業所内で犯罪行為が行われたりするなどの風俗上の問題が生ずるおそれが予想されます。
そこでいくつかの要件をクリアした営業所のみ特定遊興飲食店営業許可を取得することができるようにしました。
特定遊興飲食店営業の要件
それでは特定遊興飲食店営業は取得するためにはどのような要件があるのでしょうか?
特定遊興飲食店営業許可を取るためのポイントは大きく分けて3つに分かれます。
- 人的要件
- 場所的要件
- 構造的要件
1 人的要件
まず最初は人的要件です。これは風俗営業許可をとるためにも必要な要件でした。
法第31条の23により法第4条(第4項を除く)が準用されています。
以下引用します。
許可を受けようとする者が、成年被後見人、一定の罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わるなどした日から起算して5年を経過しない者、集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者等であるとき。
ここでは申請ができる者の要件を記載しています。ほとんどの方は該当しないと思いますが、過去5年以内に警察にお世話になった方などは申請できないとうことになります。
2 場所的要件
次に場所的要件です。特定遊興飲食店営業を営業するには限られた場所でしか営業できないということになっております。政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域に限って営業を許可することとしています。
1 用途地域
場所的要件でまず大事なものは用途地域です。東京都で特定遊興飲食店営業が営業できる地域は以下になります。
ア 営業延長地域
イ 「近隣商業地域のうち港区六本木四丁目~七丁目」
ウ 東京湾周辺の一部
特定遊興飲食店営業を営業するためにはまずは営業所が上のア、イ、ウのいずれかの用途地域になければなりません。営業延長地域とは深夜1時まで営業できる地域のことで繁華街など風俗営業店や特定遊興飲食店を営業するのが妥当だと定められた地域のことをいいます。
次に例外を説明します。営業所が例えア、イ、ウの場所にあっても以下の2つの要件に該当する場合は営業できなくなります。
(例外1) 保全対象施設
まずは例外1についてです。例外1は営業所の周辺に保全対象施設があると営業できないというものになります。
保全対象施設は風俗営業許可のところでも説明しております。しかし、風俗営業許可と特定遊興飲食店営業許可とでは保全対象施設の対象施設や距離制限に若干違いがあります。例えば特例遊興飲食店営業では学校や図書館などの施設が保全対象施設から除外されております。
特定遊興飲食店営業でいう保全対象施設と距離制限は以下の通りになります。
用途地域 | 保全対象施設 | 距離制限 |
商業地域 | 児童福祉施設など、保育所(夜間運営) | 50m |
病院、診療所(8人以上の患者を入院させることができる施設) | 20m | |
第2種助産施設、
診療所(7人以下の患者を入院させることができる施設) |
10m | |
近隣商業地域 | 児童福祉施設など、保育所(夜間運営)、病院、診療所、第2種助産施設 | 100m |
(例外2) 住居集合地域からの距離が20m以下の区域
次に例外2です。例外2は例えば営業所の場所が上のア、イ、ウに該当していても20m以内に住居集合地域がある場合は営業できないというものになります。
条例第12条第1号の商業地域のうち規則で定める地域は公安委員会が告示する地域とする。ただし、住居集合地域又は住居集合地域からの距離が20m以下の区域(当該区域が風俗営業等密集地域に該当する場合にあっては、幹線道路の各側端から外側50m以下の区域を除く。)を除く。
3 構造的要件
最後は構造的要件です。
これは営業所の中で犯罪的な行為や歓楽的・享楽的雰囲気が過度になるものを防ぐために設けられた規定です。
以下引用します。
営業所の構造又は設備が次の技術上の基準に適合しないとき
a 客室の床面積は、一室の床面積を33平方メートル以上とすること。
b 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
c 善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に 障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けない こと。
d 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りではない。
e 営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
f 騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
風俗営業許可には、「営業所の外部から客室が見えてはならない」という規定がありましたが、特定遊興飲食店営業の場合はこのような規定はありません。
a 客室の床面積は一室の床面積を33平方メートル以上とすること。
⇒客室の面積はいずれの客室においても33平方メートル以上必要になります。
33平方メートルとされたのは以下のような解釈からです。
f 騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
⇒騒音の数値は都道府県の条例で定められております。
また、騒音の数値は用途地域や時間帯で異なります。ただし特定遊興飲食店営業で規制の対象とされている数値は深夜の営業に限られております。
例えば東京都の場合は住居系地域で45デシベル以下、商業地域などで50デシベル以下と定められております。また振動に係る数値は55デシベル以下となっております。
迷惑行為の防止や苦情の処理
上の3つの要件をクリアした営業所のみ特定遊興飲食店営業許可の申請ができるようになります。
しかし特定遊興飲食店営業店舗は許可が下りても下記の事項を厳守しなければなりません。
迷惑行為の防止
特定遊興飲食店営業は深夜の営業ができる制度です。
そのため営業者は騒音や酔客の迷惑行為等による近隣とのトラブルを解消しなければなりません。
今回の風営法改正により、風俗営業者及び特定遊興飲食店営業者は深夜においてその営業を営むときは次のとおり必要な措置を講じなければならないことになりました。
(ア) 営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を表示した書面を営業所の見やすい場所に掲示し、又は当該書面を客に交付すること。
イ) 営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を客に対して口頭で説明し、又は音声により知らせること。
(ウ) 泥酔した客に対して酒類を提供しないこと。
(エ) 営業所内及び営業所の周辺を定期的に巡視し、営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼす行為を行い、又は行うおそれのある客の有無を確認すること。
(オ) (エ)に規定する客がいる場合には、当該客に対し、(エ)に規定する行為をとりやめ、又はこれを行わないよう求めること。
客の迷惑行為防止措置
- 迷惑行為防止に関する客への注意喚起
- 営業所の内外の巡視、迷惑行為を行う客に対する制止
- 従業員に対する教育など
苦情の処理
風俗営業者及び特定遊興飲食店営業者は、深夜においてその営業を営むと きは、営業所ごとに、次の事項が記載された苦情の処理に関する帳簿を備え 付け、当該帳簿に最終の記載をした日から3年間保存するとともに、苦情の 適切な処理に努めなければならないこととした。
- 苦情を申し出た者の氏名及び連絡先(氏名又は連絡先が明らかでない場 合は、その旨)並びに苦情の内容
- 原因究明の結果
- 苦情に対する弁明の内容
- 改善措置
- 苦情処理を担当した者
特定遊興飲食店営業の申請について
特定遊興飲食店営業は公安委員会に申請します。
とはいっても公安委員会に直接申請するのではなく営業所を管轄している警察署に申請をいたします。
申請をして許可がでたからといって好き勝手に営業をしていいことにはなりません。